商業床過剰と商業ページ過剰の関係と、商圏とファインダビリティの関係
前回書いたとき、意外と、検索の競争激化のほうが重要と受け止められていたみたいなので、その話でも書いてみマス。確かに、競争激化ではあるんです。
それで、これから検索の未来はどうなるのかな〜、と思うわけですが、まず言えるのはウェブページはこれからも増殖しまくるでしょう。等比級数的に増加するとしましょう。でもインターネット人口はそれほど増えるわけじゃないのデス。ということは、検索総数は、利用機会の増大はあるとしても、ページの増殖スピードほどは増えないでしょう。つまり、これからは、どんどんページが生産される割に見てもらえるページはどんどん少なくなる、ということだろうな、と。
ボクは、大学が商学科ということもあって商業学がスキなんですが、割合と、過去の商業の歴史からアナロジーでネットを見ていたりします。
そこで、先日、はてブで話題になっていた、
コンパクトシティの本質と戦略 - 日本政策投資銀行 地域企画部参事役藻谷浩介 - shiryou5.pdf
このレポートはすごく面白いので是非読んでほしいのですけど、特に注目は、商業床の過剰が坪効率を落とすというところ(p14)。まあ、ダイエー中内さんの流通革命の前後を調べていると出てくる話なんですが。
要は、日本の戦後の成長期は、需要の割に供給が少なかったんですよネ。だから、ダイエーみたいなスーパー(GMSというべきかもしれませんが)業態にマッチしてて、しかも、大店法規制のおかげもあって、逆に割合と収益も得られたという過去がボクらにはあります。
それで、資料のp17を見てほしいんですが、大店法の規制が緩んで郊外乱開発が起きたことにより、『商業施設が増えすぎ、坪効率が下がりすぎて、坪効率×床面積=売上までもが減っていく状態』と説明されるわけです。
これって、そのまま、この10年のネットでの商売の歴史じゃないですかネ。
商業床=商業ページ(ネットショップのサイトのページ)
商業床数=商業ページ数(ネットショップのサイトのページ数)
坪効率=商業ページ1ページあたりの平均売上高(ネットショップの1ページあたりの平均売上高)
と見れば、
最初はネットで商店や情報が少なすぎて、商業ページ数も少なく、商業ページあたりの平均売上単価も高かったのが、皆でこぞって参入したため、商業ページの供給量は莫大に膨れ上がり、商業ページあたりの平均売上単価は限りなくゼロに近づいている、と。
元の議論は、商圏ごとに各地域での話になっていますが、ネットの場合、商圏という概念がないんですよネ。ネットのどこに接続していてもリーチできますから、ほぼ単一商圏です。ゆえに、話は実店舗の商業よりも、深刻であったりします。
ネットは、実店舗における商圏という概念がない代わり、ファインダビリティ(見つけやすさ)があるんだと思います。
ボクが思うに、間違ってるのかもしれませんが、ファインダビリティは、平均的に皆が見つけやすい、見つけにくい、ではなくて、偏りが出るのではないかなと。商圏であれば、目に見えるし、地域ごとに交通量から来店数も見えやすいわけですが、ファインダビリティだと、自分に操作できない領域での競争が増えるということだと思います。一部にはSEOとか。そこらへん、「アンビエント・ファインダビリティ」にはヒントがあるかと思いきや、そーでもなかったというか。
ともあれ、単純に、商業ページ数の激増、という観点から行くと、ファインダビリティは重要な位置を占めますが、現時点では操作可能ファクターが明確じゃないし、計算できない領域の勝負が続くなあと思う次第です。
このあたりはもうしばらく検討してみたいと思っていマス。
written by asotetsu April 21, 2008
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