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防衛省と山田洋行の件で誤解される商社の機能

防衛省の守屋元次官と山田洋行の癒着で防衛汚職の話が出ているんですが、読売の連載読んでたら、あ〜、商社機能をぜんぜんわかってないんだなあと思ったのでありました。

【国防利権】(下)商社任せ 危うい調達

どうも、商社=利益をむさぼっている、という商業軽視の思想が見られるんですよネ。

でも、商社に依頼するというのは調達のアウトソーシングの一面があって、むしろ効率化なんですヨ。

読売新聞ですらわかっていない(わかっていて書いていたら故意ですが)のは、ちと悲しいハナシです。


上記記事から引用しますと、

緊急調達でも言い値にならず、海外メーカーとの直接契約も可能だった。だが、ここにも問題がある。2、3万人を擁する欧米の調達部門に比べ、同省の装備施設本部はわずか600人。商社に代わって装備品の情報を集め、契約内容を精査できる体制にはほど遠い。

この手の論法は、基本的に「利益を取るのが悪」という前提で語られているのデス。

ちなみに、上の議論はかなりいい加減です。欧米の調達部門が2〜3万人とはアバウトすぎるし、おそらく防衛省も各地の部隊の発注者も入れれば数千人はいるはずです。

それをさておいても、例えば、欧米の軍の調達に2万人いるのに対して、日本が2000人で対応したらと仮定しますよネ。

そうなると、同じレベルの仕事量とすると、人手が1/10なので、調達品の精査とか調査なんて出来ないですヨ。

でも、人手が足りないということは、1人当たり年間500万円のコストがかかると低めに見積もると、どれくらい人件費が圧縮できているか計算すると、

5,000,000円×(20,000-2,000)=900億円

ネ? 900億円ものお金を節約しているんですヨ。

つまり、商社を使うのは調達のアウトソーシングなんです。

しかも、上記記事では、

一般輸入品は、すべて商社から調達している。昨年度の調達額は1158億円。調達全体の5・5%だが、「装備品の種類、開発状況など最新情報の一切が、商社任せだ」(同省幹部)と打ち明ける。

というのだから、調達額1158億円に対して、自前でやれば、(上の乱暴な計算では)、900億円もかかってしまうわけで、アウトソーシングして正解ってハナシでしょう?

もちろん、国防は重大事だから、その装備品を選定するのを自前で出来なくて、アウトソーシングしているというのは憂慮すべき事態かもしれません。

でも、それは、費用面で語るべきじゃない。費用面で言えば、むしろ安く上がっているのです。

イニシアティブという点で語るべきことなんです。



written by asotetsu Dec 2, 2007

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