ワーディングラボ | 検索エンジンとSEOとネット広告のコラム

長く更新していません。はてなブログに移りました。

Rimo(リィモ)でわかるクリック地獄たるネット世界

はてなが出しているRimo(リィモ)というサービスがあって、youtubeの人気のクリップを次々と連続して流してくれるものです。1チャンネルが音楽、2チャンネルがコメディ、3チャンネルが…、という感じで、ほかにもユーザーが作ったチャンネルがあります。ユーチューブというオンデマンドな動画サービスをテレビ的に変換したものです。

え? 知ってる? ははは。

でも、このRimoの凄さ、って伝わっているのかなー。



ところでね。テレビって凄いメディアなんです。

点けてると、どんどん面白い動画見せてくれるんです。

クリックとかしなくていいんです

え? あたりまえ? そうですかね。それはアナタがテレビ人種だからでは?

いや、逆か。アナタがインタラクティブ人種だからクリックを苦に思わないんですね。


インターネットって、とにかくクリックしないと何も出てこないんです。

おかしくないですか?

何を見るにもクリック。というか、クリックを要求される訳です。

クリック地獄っていうか、オンデマンド地獄ですわ。

何でも出来るとか言うのに、クリックしないと何も始まらない

検索しないとページにたどり着けない。

ここまで楽しむのに徹底して能動的にならないといかんのか、と。


でも、これを不思議に思わなくなりましたよね?

つまり、今までインターネットを使いこなしている人は、このクリック&検索に慣れてるんです。

そんなアナタはインタラクティブ人種と言ってよいでしょう。

ところが、まだヤフーとか楽天とかその周辺しか使っていないネット初心者な人たちというのは、まだまだ一杯います。というか、これからみんなの利用が本格化するんです。

そういう方たちはここまでインタラクティブ慣れした人たちじゃないんです。

表現するとすれば、テレビ人種

テレビ人種というのは、テレビを点ける、チャンネルを選ぶ、だけです。ここまででしかしたことがないんです。


そういう人たちをこれから本格的に取り込んでいかないといけないという状況です。そこがマスマーケットですから。


ここにおいて、こういう形でyoutubeなんていうインタラクティブの雄たるサービスを、技術的にテレビ人種向きに作り変えるというのは、非常に創造的な話なんですよ。単にテレビにしたっつー話ではないんです。

ちなみに、誰でもオンデマンド人種の部分とテレビ人種の部分があります。ここでは極端に分けているだけで、人によってその比率が違うだけの話です。例えば、会社ではネット使うけど、家ではテレビずーっと見てる人だと、オンデマンド人種40%で、テレビ人種60%とか、そんな感じです。テレビまったく見なくてネットだけ、という人は100%オンデマンド人種ですな。その逆もありますね。


余談 インターネットはやはり『通信』である。

ブログでも何でもそうですけど、サーバにアップロードしただけじゃ誰にも伝わらないですよね。インターネットって。最初の頃、「インターネットを使って世界中に発信」なんて、データをサーバに上げただけで言う人がいましたけど、『発信』なんてしとりゃしません。
『通信』が何ゆえ通信かというと、要望がないと送らないからです。だから、ブラウザとかでURLをたたいたり、検索してクリックしたり、どこかにリンクされているのをクリックしたり、という、能動的な送信要求をしないと見れないわけです。
サーバにデータがあるだけじゃ、いわゆる裁判所の言う『送信可能状態に置く』だけなんですね。必ず誰かから送信要求を貰わないといけない。
だから、インターネットではクリックさせられまくるのは何故か?といえば、システムが通信だからなんですよね。送れー、って言わないと送ってこない。これは放送とまったく違う概念ですよ。似てるけど凄く違うというのがポイントで、そこを意識しないと、テレビとインターネットの違いで見えてこないなー、と思います。
極めて高く求められる能動性ってヤツがネットの面白さでもあり、障壁なんです。それを言い換えると、オンデマンド地獄、というか、クリック地獄なわけです。



youtubeに対してRimoは貢献があるのか

もちろん、youtubeに対してRimoは貢献があるのか?という話もありますよ。youtubeの動画配信システムに乗ってるとかいう話は除いても。というか、youtubeのレーティングシステムがないと自動編集でいいものをまとめられないという問題があるわけですが。


これもね。実はすごく大事な話が1個隠れているんです。

そもそもyoutubeとは何か

youtubeってそもそも何でああいう構造で、ああいうサービスをやっているのか?

それはBuzz起こすためなわけです。クチコミの起点とするためなんですよね。そのためのコミュニティでありメディアなわけです。

そんな話を先々月のAdtechでyoutubeの人が言っているのを聞いて、ほぉ〜、そりゃ納得だ、とか思ったんで、僕も昔から知ってたんじゃないんですけど。

クチコミっていう点ではRimoは機能しないが

クチコミっていう点では、Rimoは機能はほとんどしないですよね。正直なところそれは意識してない。何しろテレビだもん。たぶん、そこは仕方ない。

テレビ人種にネットの動画の楽しさを伝えるソリューションとしてのRimo

でも、テレビ人種にネットの動画の楽しさを伝えるという点では、今までにないソリューションなんですよね。

これ、うまく応用すれば、近い将来やってくるVOD(ビデオ・オン・デマンド)に凄く活用できる技術ですよね。

だってね。ビデオオンデマンドなんて、数千、数万あるコンテンツを、しかも、少数派のインタラクティブ人種じゃなくて、テレビ人種が選べますか?って話ですよ。かといって、人間がサジェストする手間かけられるか? だし、雑誌で編集という技術を使う時代でもないだろ、という話なんです。



だからまとめると、

テレビ人種にとって、インターネットはクリック地獄である。オンデマンドなんて地獄である。
Rimoは、インタラクティブ人種向けコンテンツをテレビ人種向けに変換する斬新なソリューションである。
Rimoは、来るビデオオンデマンドでの数万コンテンツを自動編集して見せるソリューションになりうる。

という話で、今後のテレビ人種向けへの対応を考える上で重要な点をいくつも含んでいるのです。



この話はあれこれ書きたいので続きます。ニコニコ動画の射程についても。



written by asotetsu June 18, 2007

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