SEOは必要だけど、必要な形で必要なところに届けるのがむずかしい
コンサルをやったり、セミナーをやったりしていて、SEO周りでいろいろ考えています。Sphinn Japanが出来るとのことで、それも情報を共有して高めあう場所になればいいなとかなり期待してます。
何が悩みかというと、まあ、ウチも含め、SEOは、必要なのだけど、必要な形で必要なところに届けるのがむずかしいなあと。
もともとは、検索エンジンというものがあまり理解されていない中で、秘法的にSEOというのが語られている時期があって(今も一部にはあるわけですが)、扱いとしては弱者の核兵器的なところがありましたよね。
でも、今はそういう時代ではなくなったのではないか、とボクは思います。もちろん、まだそういうのはアリとは思いますけども、主流ではないかな、と。
在来企業や大手企業の間隙をついて、検索エンジンでうまいことやってビジネスをするというものから、むしろ、ネット対応し始めた在来企業や大手企業が増えて、ボクら専門業者はそういうところをどうやってアシストしていくか?という話なのだと思います。
そうした中で、SEOというのはどういう役割かと思うわけですが。
インターネットは秒単位で情報量が増加している特殊環境で、グーグルを中心的な存在とする検索エンジンというのはその情報の洪水をとりあえず処理する方法を考えて、それで情報の洪水を処理しているわけです。
この恩恵を皆で受けているし、情報の洪水対策としては唯一解ではないとしても、現時点ではグーグルなどの検索エンジンの判断をボクらは受け入れざるを得ないのが現状です。激増する情報の洪水に対するグーグルなどの検索エンジン以外のソリューションがないからですが。
ちょっと振り返っておくと、検索エンジンがこの情報の洪水を処理できるポイントは、情報そのものの意味が分からなくても外形的な特徴からそれぞれの情報の優劣を判別してランキングするという仕組みを基本としているわけです。
というわけで、
これゆえに、SEOという検索エンジンに対するウェブコンテンツの最適化が今は必要になるのですよね。
ユーザは検索エンジンを使う。自分のところのコンテンツを検索エンジンの評価する形に合わせないとユーザと引き合わせてもらえないわけで。巷に、SEOが無ければもっと検索が良くなるというのは少し違うと思います。まあ、検索エンジンの弱点攻撃的なSEOもあるわけで、そういうSEOばかりでは確かにダメですけども、そういうのがSEOというわけでもないのです。
少なくとも、今のところは。もしかすると10年くらいはこの仕組みでいくことになるかもというところで、しばらくはSEOは必要だろうと思います。実際にこれはクライアントを見ていても思うのです。
他方、SEOというと、ボクなんかは思うに、各サイトのウェブマスターの人が主導するのがベストと思うんですよ。今は個人企業では自前ですけど、中堅企業以上ではネット系以外では外注が多いですよね。外注にするとSEOは活用されていないなあと思います。個人企業でSEOを既に活用しているところでは、実のところ、これ以上やりようがないくらい活用してしまっているところも多く見かけます。
外注のSEOを見ると、大きく分けて、制作屋さん系の施策を行うものから、SEO専門業者の順位による成果報酬型というのが代表的なところだと思います。
制作屋さんでSEOをするところは、ボクらから見ると、弱いところが多いような気がするんです。デザインの発想とSEOはちょっと特殊みたいなんですよね。本当の意味で強いところがある半面、多くのところでは、いちおうSEOやってますというような。
コンサル専門の方もいらっしゃいますが数も多くないようです。SEOは努力とその成果というのが見えにくいというところから、収益モデルがはっきりしていないので、難しいのかもと思います。
で、ボクのいるところも含んだ順位による成果報酬型なんですけど、これもいろいろ問題はあるんです。
いや、もともとは順位による成果報酬というのは、SEOという形がないノウハウを割合と客観的にコストにする方法だったと思うんですよ。
なにしろ、順位は(いちおう)、客観的なデータで、双方が確認できますから。順位はSEOというよく分からないものの効果指標としては分かりやすかったと思います。
もちろん、この順位がパーソナライズ化されると意味を失ってくるわけですが、とりあえずそれは別として。また、順位が高い=良いこと、という分かりやすさもあったわけで。
ところが、上位表示というのはウェブマーケティングのホンの一部分でしかないし、意味のない上位表示もあるし、必ずしもいつも上位表示できるものでもなかったり。いつしか、順位だけが一人歩きし始めて、成果報酬制は迷走し始めます。
そうした中では、クリック課金はその一つの展開でしかないと思います。もともと、順位による成果報酬は、検索エンジンの判断という他社の判断の上に成り立っていて、SEO会社の努力と成果の関係が見えにくいところに加えて、さらにクリックという人の判断を報酬の基準とするわけですから、事業として、努力を売り上げにする部分でコントロールできない部分が多すぎるように思えます。
まあ、そういう意味では、考えていくと、もう少し、SEOというのはウェブサイト運営にコミットしていく形でないと効果がないし、検索マーケティングのダイナミズムも味わえないなあと個人的には思っています。
SEOがなんだか分からない時代には、ウェブ制作屋さんの施す最低限のSEOというのも意味があったし、順位の成果報酬も局面によっては有効であったものの、それがSEOファームの主流となるのはこれからは違うかもと思えるのです。
特にボクの実感では、順位による成果報酬ではない形でSEOを届けられたらいいケースが結構あると思うのですよね。
そこらへんで、SEOは必要だけど、必要な形で必要なところに届けるのがむずかしい、と思う次第です。
できるウェブマスターさんは既に出来ているのでいいんですが、そうでない人たちに届けるのはどうすればいいか?と。
普及を考えると、提供する側も受け取る側も採算が合うモデルを考えないと難しいですね。
そういう中では、コンサルというのはたぶん中心となるには少し違う気がしていて、学校だと自主性に任せすぎているように思え、今のように外注するだけだと、これから自前コンテンツをいかに増やしていくか時代に押し付けのコンテンツを増やすことになって意味がないような気がしているのです。
といったことを考えているのですが、結論はないのです(笑)。まだ考えます。
written by asotetsu Sep 29, 2008