ワーディングラボ | 検索エンジンとSEOとネット広告のコラム

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SEOマーケット概観(盲説編)

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えー、盲説をひとつ。



SEOマーケットとシェアの話


SEOマーケットがどうなっているかを考えるわけですが、まずマーケットサイズについては、アウンコンサルティングさんが毎年発表されています。2007年は100億円でしたか。


いやー、その数字はどこから? と思いましたが、この手のマーケット推計値なんてどれも結構怪しいもの。自分で検証のために上場主要社+αのSEO売り上げ足していくと50億円くらいにはなったので、なるほど、悪い読みじゃないように思えました。たぶん実際値と遠くないですね。あとは、非上場のもろもろの会社を足せば100億円くらいになるかなと思ったりしました。


そこから分かるのは、たぶんフルスピードさんが一番SEO売り上げは大きいと思いますが、マーケットシェア30%ないですね。SEOのマーケットはトップも30%を越えないドングリの背比べ状態と思います。


これは何が言えるかというと、容易にシェア逆転がありえるということです。まあ、その推定が間違ってたらアレですけど、実感としてもシェア30%超の会社はないなと思いますよ。そういう会社があると競合時に存在感が強く出ますから。何気にどこも強くないというのが現状でしょう。



SEOマーケットの状態


おそらく、2007年に成長期に入ったと思います。セオリー通りなら。SEOに関する出版も2007年がずば抜けて多いですしね。競合社の参入もおそらく一番多かったように思います。ベルカーブが正規分布であると仮定すると、成長期前期が残り2年。成長期後期が3年かな、と。


先ほどの支配的強者がいない現状では今がシェアの取り時ですよ。成長期の今、シェアを獲得に走るべきときです!


シェアは固定的か?

なんて煽ってみたりして。セオリー的には成長期の前期にシェアが固定する前に獲得に走るのが戦略的には正しいのですけどね。ただ、どうもこのビジネスは獲得したシェアが固定しないような気がします。そうなると話は別です。


シェアが固定しないっぽいというのは、何でしょうね。実は複数要因があると思うのですが、このビジネスのお客さんは撤退する所が物凄く多くないですか? または、対策強化するのをやめたり。飲食店なみの出店と廃業率ではないかと思います。お問い合わせから数年経ったお客さんのサイトがなくなる率は50%越してたりすることもあるようで。つまり、シェアは獲得したつもりでいても、数年経つと必ずしも確保されたものではないんじゃないかな、と。


あと、SEO自体の事業が労働集約的でもなかったり、資本集約的でもなかったりして、償却資産で稼ぐというようなのも出来ない感じで。ただ、事業のハンドリング的には、営業主体でやる場合、営業マンが大量にいるので労働集約的なビジネス経営が得意な会社さんはそういう運営が上手なようですね。


事業が労働集約的でないとか資本集約的でないという、未来チックな業態であるのは参入がやりやすいんですよね。他方、参入障壁が誰に対しても異様に低かったりして。結局、SEOというのは、グーグルやヤフーで上位表示する方法、というノウハウ商売ですからね。検索エンジンそのものであれば、評価アルゴリズムとか、実際のサーバ技術が強大な参入障壁になるわけですが、誰にでも開かれた検索エンジンとうまくやるやり方なので、ちょっと腕に自信のある人たちが参入してきます。まあ、これはそういうものなので、よしあしは言いません。


そういう現状で各社の動き


パワーテクノロジーさんはセプテーニさんの持分法適用会社になったりするのも、そういうマーケットの現状をパワーテクノロジーの中島社長は読みきってると思いますね。商人哲学ブログ読んでたら、まさにそういう話が書いてありましたよ。


あと、同業者さんと話す機会があると、お客さんのところにいろんな業者から電話アポがあるという話になって、どんだけSEO業者が参入して、営業かけてるのかという話になります。


後発になるとどんどん条件の良いオファーが必要になって、成果報酬制なら成果条件がどんどん緩く(僕らには厳しく)なったりして、みんな大丈夫かなあと思ったりします。僕らも。結局、競争が激しくなって単価がどんどん落ちてきています。


まあ、それは必然でありまして。こうやってどんどん業界に参入があると、自由競争をやった場合にはマージンは限りなくゼロに近づくところまで単価は落ちると思います。参入が止まるのは利益がゼロに近づいたときです。そのときの単価はオーバーシュートして一時的にマイナスまで下がりすぎると思うので、赤字になる企業が出て、赤字に耐えられる会社がオーバーシュートされている期間を耐え抜くことになるでしょう。


そんな中で、CAテクノロジーさんが先日PPC-SEOというのをリリースされて、こちらもまた激しいなあと思いました。競争が大変なんだなあと。というのもネガティブ側の措置ですからね。


集客がうまく行かなかったときにお金を払いたくないという希望に応えるのは、ネガティブ側の話です。本当は費用払っても集客したいのですから。お客さんにとって、集客がうまく行かなかったときに費用を払わなくて済めばラッキーですが、他方、その期間は無為に過ごした訳で資本コスト分だけ赤字です。つまり、損を最小に抑えるというネガティブ側の希望に応える商品ということなんですね。


ところがネガティブ側の希望は、満たされたときも、お客さんも嬉しくないし、提供者側も赤字で嬉しくない。つまり、ループしにくい構造にあります。あくまで保険機能です。むしろ、ビジネスはポジティブ側が増幅されるような形で作らないと、お客さんも大喜びでさらに発注があり、受注する我々も大喜びで追加受注を喜ぶという正の循環が起きないと思ったりしました。まあでもいろいろ考えてらっしゃるのでしょう。大変そうなお話です。


あと、気になったのは、リスティング広告より安くなるというのは、リスティング広告が高騰しているワードということだと思います。それってビッグワードですよね。リスティング広告で単価が高騰しているワードって数百くらいしかないと思うんですけど。考えると、僕らも含めてSEO業者はなんだかビッグワードを中心にそこだけで競争しているような気がします。これはCAテクノロジーさんに限らず、ウチも含め、どこもそうだと思うんですけどね。


SEO業者がビッグワード周りで競争していて、それゆえに限界があるというのは、上位表示で成果報酬型というプラン自体の限界も露呈するという話なんですけど。あるワードで、上位何十社がそれぞれSEO業者を使って競争しているとしたらちょっと滑稽ですからね。


でも実は、ビッグワードに縁がない事業者さんのほうが世の中全体では多いんですよね。そういったお客さんは、こういうSEO熱の中でも、「SEOやらないとなー」というのもありつつも、特に何もしないで過ごしていると思います。ウチで調べるとそういうお客さんのほうが全体では多いと感じています。


最近、ウチでセミナーとかアドバイザリーに力を入れているのは、収益性は良くないんですけど、ミドル以下の普通のワードのSEO施策でサイトを改良していくというのをやってみているんですよ。それで実際にユーザさんは検索して来ますし、そういうミドルからテール部分のワードのSEOというのは、サイトをどう設計して、どういう役割を与えていくかという話も合わせて、なかなか面白い未開拓分野だなあと思ったりしています。まだ試しつつなんですけども。


まあ、あるワードで上位表示というのは、ウチもやっているし、そういう強いニーズがありますからなくなるとは思いません。とはいえ、それは結構小さい世界の勝負なんじゃないかなと思えてならなかったりします。だって、検索する側は最近はだいぶワードの広がりを見せていると思うんですよ。そこらへんに見落としがないかなあと。



というわけで、セミナー企画中です。

ウェブ担当者さん向けと、担当者の方の上司の方向けで、それぞれ、検索エンジンとどう付き合っていくか、前者は戦術を、後者は戦略をベースに何回か構成で作ろうかなあと。とりあえずお試しの無料版を予定しております。渋谷あたりで7月以降開催予定。


(興味いただけたかたはメールいただけるとご招待状お送りしますネ。企画とかネタ希望もあれば是非。)


written by asotetsu June 24, 2008

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