ワーディングラボ | 検索エンジンとSEOとネット広告のコラム

長く更新していません。はてなブログに移りました。

「出口」に見るリンクの効果とペナルティ判断の微妙なライン 

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アリャ。多忙で更新あいてしまいました。久しぶりに書きます。

最近「検索エンジンからペナルティ」というネタがニュースに多くて、割合とショッキングなのでキャッチーではあると思うのですけど、心配すべき人が心配せず、心配しなくて良い人が心配するという不可思議なケースがあるようなので解説ネタでも。


ヤフーでもグーグルでもいいんですが、「出口」と検索すると1位か2位にYahoo Japanのサイトが出てきます。

Yahooで「出口」と検索 Googleで「出口」と検索

これは有名な事例なのでご存知の方も多いでしょうが、ヤフージャパンのトップページは、アダルトサイトなど年齢認証ページから被リンクを受けているからです。

アダルトサイトでサイト内部に入るときに入り口の年齢認証ページで18歳以上か以下か尋ねます。そのときに18歳未満ですのほうは、出口というアンカーテキストだったり、画像でもaltに出口となっていたりすることが多いんですね。ヤフージャパンのサイトはそうした出口というアンカーテキストのリンクが多い関係で「出口」で検索するとヤフーでもグーグルでも検索結果のほぼトップに来ているわけです。

ここでまず分かることは、被リンクでアンカーテキストに入っているキーワードは上位表示の重要なカギということですね。SEOやってる人には復習みたいな内容ですけど。

もう少し深くいうと、年齢認証があるようなサイト(例えばアダルトサイト)、一般には良くないとか言われているサイトからリンクを受けていても、そのリンクは有効、ってことです。もちろん、無効化されているリンクもあるでしょう。でも、そういうサイトからの被リンクは有効だということです。

また、年齢認証ページにサイトテーマも何もあったものじゃありません。でも、こうやって単にアンカーテキストにキーワードが入っているだけであがってしまうんです。これはSEOの一側面だと思います。もちろん、これは物量がスゴイってのもありますけどネ。これ、重要だと思いますヨ。

アンカーテキストにキーワードが入って大量の被リンクを受けると検索結果の上位に入ってくる、というのは未だにSEOの一面の真実です。リンクの適切さ、レリバンシー(relevancy)といってますけど、こういうのも現実にはあるわけです。検索エンジンも建前と本音ってのがあります。こうでありたい、というのと、現実はズレがあります。とはいえ、ここで言っているケースのような物量のリンクなんて普通は作れないんではありますが。

あと、こういうのをやったら検索結果から消されるんじゃないの?というのも根強く信じられています。マア、消されるケースってのもゼロじゃないんですけど、少なくともこのケースは有名なのに消えていない。

なぜか? この真実は検索エンジンさんに聞かないと分かりませんが、とりあえず私が合理的に推測するとこんなところです。

検索エンジンは、特にグーグルは、検索結果の適切さ、レリバンシー(relevancy)を保つために、ルールを作ってルールの適用によって保ちたいという基本方針があるのだと思います。個別に人間が判断して載せるか載せないかの判断はやりたくないと考えているのでしょう。そりゃ、ウェブの世界は何兆ページあるか分かりませんが、どんどん増えていく訳で、人間の目でチェックするのは合理的でなく、賢いルールを作って適用すれば何兆ページにも適用できますからね。

つまり、このケースで言うと、ヤフージャパンのトップページはどう見ても「出口」に関するページじゃありません。検索結果の1位にあるのは、人間の目からすると適切さがないわけです。でも、検索すると長らく出続けている。検索結果のハイジャックなんてのは過去にいろいろありましたが、そういうのはすぐに排除されています。ところが、「出口」は消えていない。これはルールをうまく設定しても回避できていないということなんだろうと思います。

なぜか? それは無数の独立したページからのリンクで、特定のパターンを持つ人為的リンクとはいえないからだと思います。この辺はすべて推測に過ぎないわけですが。つまり、賢いグーグルでも、検索結果は不適切なのに、それを導き出しているリンクはあまりに自然なので除去するルールが設定できないということだろうなあと思うわけです。

これも大事な話で、自然なリンクに見える限り、人為的なリンクのパターンを持たないのであれば、そうしたリンクを無効化してカウントすることは検索エンジンには出来ないということなんだろうと思います。これは検索エンジンにとってはとても悩ましいことです。下手に無効化することで、有用なリンクも無効化して誤爆してしまうほうが怖いわけです。そのほうが検索結果の適切さは失われますからネ。

つまり、スパムなリンクの判断というのは、結構グレーゾーンがあるというのはこういう話なんです。「出口」の例はそれを分かりやすく示しているわけです。

あと、もう一つこの事例から学べることがあります。

特殊な大量リンクでヤフージャパンが「出口」と検索するとほぼトップに来るわけです。この検索結果は適切でない。そしてその検索結果を支えているリンクをルール適用で無効化することは上記の理由から難しい(らしい)。となれば、このサイトそのものをインデックスから消すという方法がありますよネ。でも、消すわけにはいかないんです。なぜならヤフージャパンは、そうした特殊な大量リンクを作り出すことに対して何かしたわけではないのです。

ここで分かることがあります。あるサイトが検索エンジンのインデックスから削除されるというのは、そのサイトオーナーが意図的に検索エンジンをだまそうとしていることが明瞭なときだけだろうということなんですネ。この点は意外に伝わっていないように思いマス。

だから、リンクを販売しているのはスパムだとグーグルは明言してますけど、買ったところがインデックスから削除されるかというと、買ったかどうかをグーグルは立証しにくいのですネ。そのため、買ったことが理由では消されにくい。そういう場合は、リンクを売ってる方のリンクの価値を無効化するという手段に出るわけです。売っているほうはサイトオーナーの意図が明確ですから。最近のリンク販売サイトにペナルティを課してPRダウンというのはそういう話でしょう。

他方、クローキングしたり、無効なページを大量生成したり、複製したりするほうが消されやすい。こっちのほうはサイトオーナーの悪意が明確ですからネ。この辺が逆によく伝わっていなくて、知らずに危険なことをやっているサイトオーナーのかたがおられます。こちらはそれを知ると逆にハラハラします。

つまり、この「出口」の事例では、ヘンなリンクで検索結果で上位に上がったサイトをインデックスから削除するというペナルティは、そのサイトオーナーの悪意が明確にならないと受けにくいといえるんじゃないでしょうかネ。



まあ、検索の世界は逐次変わっているし、場合によっては人間の目でチェックしたりもすることがあるので、必ずしもそうではないケースもあります。とはいえ、ページというのは膨大にある関係上、やはり、検索エンジン会社はルールにのっとった処理というものを心がけていると思います。そういうものが端的に現れているのは「出口」の検索結果だと思えるのです。ご参考まで。



written by asotetsu June 02, 2008

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