閑古鳥がなくユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツとかいうもの
Web2.0とか言うと、よく出てくるのは、ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ(user generated contents)をやらねば、とか、やりましょう、とかいうような話が出ますよね。
ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ(UGC)というのは、サイト訪問者であるユーザーが生成するコンテンツ(感想コメントとか、ブログとか)ですよネ。ご存知のとおり。
Web1.0のサイトは、ウェブサイトからユーザーへの一方的な情報提供であって、まあ言ってみれば雑誌的であり、出版の概念に基づくものだけれども、Web2.0では、出版ではなくて、(ユーザーの)参加であるという話なんですな。
だから、ユーザーがある製品やサービスを使っての感想なんかが、製品情報やサービス情報に並んで見ることが出来る、と。
まあ、そういうのとても便利ではあるんですけどね。ユーザー側からは。
Web2.0では、ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツは必須ですよ、とばかりに猫も杓子もそういう機能をウェブにつければいいか? というとそんなことはない気がするんですヨ。なんか違う。
だって、そういう感想集めるのって大変ですよ。
アマゾンだって集めるために、商品券配ったりしてましたし、感想をたくさん集めてるところはかなり工夫と努力を重ねてます。
大きな定評ある巨大サイトなら、それなりにユーザーがたむろしてるので、そういうのもアリだとは思いますけど、そうじゃない普通のサイトレベルなら到底無理な話です。
システムを入れるときには、管理機能で、変な書き込みは削除できますとか、審査機能とかあれこれ心配してますけど、実際のところは審査も何も書き込みがないという閑古鳥状態になるわけです。
みな、導入前に心配すべきところが間違ってるんですヨネ。
何も工夫しないで書き込みしてくれるわけじゃないんです。
中規模以下のサイトではUGCは、ああいう掲示板形式とは違う形のほうがいいと個人的には思っています。
言ってみれば、ラジオのDJが読者からのお便りを取り上げるようなネ。そういう『編集』が必要だと思います。
だって、どうせそんなに感想は来ないんだから。
あと、感想はちゃんと工夫して集めないと集まりません。
こういうのでうまいのは、アマゾンや楽天は定番的にヨイですが、ネット以外ではDHCが秀逸です。
DHCを買ってると、カタログ誌が定期的に届きます。
そこに読者からのハガキがコピーでA2版くらいの紙に全面にまとめられたものが入っています。
どの製品がどういう風に良かったか、手書きのハガキがたくさん載っているんです。
これね、掲載されると5,000円分の商品券が貰えるんですよね。
掲載は、やっぱり内容がイイと採用されるんです。
しかも、もともと応募するヒトはDHCのファンのヒトですからね。
個々人が工夫した激ホメ感想が、しかも、手書き(リアリティ)で集められるんですよ。
だから、読んでいて凄く納得させられる。読んでいると欲しくなってしまいます。
愛用ユーザーが一番のセールスマンとは、昔、有名なセールスマンか誰かが言いましたが、まさにその通り。
これも、ちゃんと運営側が、そういうインセンティブの提供とか、感想ハガキの用意とか、選定という編集行為で、きちんと好循環するように誘導しているんです。
そうでないとああいうことは出来ないのですね。
だから、ユーザーが勝手にコンテンツ作ってくれるからラクチン、なんてことは絶対ないのがユーザー・ジェネレイテッド・メディアなんです。コメント集めるためには工夫と予算と覚悟がいります。
そんな勝手に生成してくれるわけありますかいな。やっぱりここでも知恵とお金を使うんです。それがコツです。
written by asotetsu July 12, 2007
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